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曾祖父の一生 [一乗院日静上人]

私の曾祖父の伝記をちょっと。


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〔一乗院日静上人(1879-1971)〕


明治12(1879)年10月1日、神田錦町陸軍御用達の薪炭問屋「備後屋」藤井太郎太の三男として生まれる。幼名は三男(みつお)。その父は元備後(びんご=大分県)臼杵藩主 稲葉家の祐筆で、明治維新の後、商家に転じた。両親とも法華経に深く帰依。

明治23(1890)年に得度、教仁と改名。
昭和34(1959)年身延山第86世法主、一乗院日静上人となる。
昭和38(1963)年第38代日蓮宗管長、日本仏教会管長に就任。
世界連邦平和運動*を積極的に進め、昭和40(1965)年には世界連邦 世界大会に名誉団長として渡米し、“道義の実践”*を提唱。

昭和41(1966)年、私学振興の功労により勲三等瑞宝章を授与
昭和46(1971)年、12月27日93歳で遷化
また、日静上人の長男は、第91世法主を務めた一乗院日光上人(1909-2002)


 キリスト教に於ける十戒も、仏教に於ける浄仏国土の建設も、神道に於ける天道も、
 全てこの道義の実践であり、これが平和への道であると信じます。


【世界連邦 大会宣言】

 いかなる宗教も、人間の心の平安と世界の平和とを念願しないものはない。
 核兵器の脅威によって人類共滅の恐れさえあるのを思うにつけ、
 宗教者は宗派の垣をこえて結集し人類が生きるための大道を開かねばならない。
 われわれは全世界的に結合し、法治共同体としての世界連邦をつくり、
 戦争のない一つの世界を実現しなければならない。
 ここ身延山において、われわれ日本の宗教者は一堂に会し、
 諸宗教共通の広場を開発し、宗教協力の実を示すことを得た。
 まことに未曽有のことであり、新しい歴史をつくるものである。
 われわれはここに世界連邦の方式による恒久平和への道を実践することを誓うとともに
 これに協力するよう全世界の善意の人々に呼びかける。


【世界連邦身延での開催に向けて】

 今日の文化は日に月に進むと共に、善悪両面が極度に激しい様です。
 過日アメリカは月に向ってアポロ11号を打ち上げました。宇宙船は順調に飛行を続け、
 アームストロング飛行士等3名は月の岩石を採取する壮挙をとげました。
 この成功の裏には人々のたゆまざる研究と努力とがあり、
 文化の高度な発達に依ってなしとげられたものであります。
 しかしその反面に於いては、地球上の各所では血で血を洗う争いが絶えず、
 原子力兵器を持つ国家がボタン一つをおせば、
 全人類が全滅する悲惨事を招くことも必至であります。
 日本の国内に於いても学園騒動は続発し、ペンを捨てた学生は火焔瓶、
 ゲバ棒を持ち机でバリケードを造って、自ら学園を破壊する暴挙を続けています。
 過激な学生の行動は目にあまるものがあり、
 こうした思想が伝染病の如く蔓延するのを見た時国家の前途は
 まことに寒心に堪えない次第であります。…
 今日の日本人に必要な事は国民精神の高揚と、
 宗教心によって人々の心の空洞を埋め合わせる事が肝要であります。
 イギリスの著名な世界連邦主義者アーノルド・トインビー氏は
 「これからの時代は宗教を必要とする時代である」
 と言われたが、精神界の安定なしでは地上の平和はあり得ません。
 また、宗教ほど個人の安心と人類の恒久平和を念願するものはありません。
 私は、昭和40年6月22日、サンフランシスコにおける第12回世界連邦世界大会に於いて
 「道義の実践」を提唱し、道義の実践こそ世界平和の根本理念であると考え
 話し合いの場をつくられる様に提案しました。
 私の提案は直ちに採択されオランダのハーグに世界連邦平和宗教委員会が設立され、
 昭和42年にはノルウェーのオスロに於いて第13回世界連邦世界大会が開かれ、
 宗教委員会も開かれました。


 真の平和を招来するものは、すばらしい科学の発達と、
 それを方向づける世界連邦を実現させる宗教の力以外にはありません。
 これを換言すれば、真の世界平和を実現するものは、
 宗教意識にもとづく報恩感謝と社会奉仕以外にはあり得ないと信じます。


【平和のための“道義の実践”*
 
 世界連邦実現の障害となる宗教宗派、及びイデオロギー紛争を解決する為の
 研究機関を設置して頂くよう提案します。

 世界連邦の崇高であり偉大である理想実現には、
 その価値の高さに比例した偉大な努力を要します。
 人類は過去何千年に亘って民族的・国家的・イデオロギー的・宗教的自我がありますが、
 これらは全人類共通の幸福達成の理念に抵触する場合がありますので、
 謙虚に反省し修正しなくてはなりません。それには
 優れた英智、絶大なる慈悲、高邁なる精神、そして果敢なる勇気を不可欠とします
 …吾々が首題の如き提案をする理由の一つは、
 南北ベトナムの紛争について感ずるところがあるからであります。
 この紛争の背後にはイデオロギーの問題があり、宗教の問題があります。
 こうした現実の問題に手をつけることは骨のおれることでありますが、
 吾々は何らかの手を打たなければなりません。
 対立した抗争を解くには、
 その対立を越えた次元の高い理念からの説得しか方法はないと思います。
 …紛争の複雑性は速やかな解決はできないかも知れませんが、
 この提案が採択され有力な同志の努力で当事国間の理解が得られ
 現代の悲劇に終止符を打つことが出来たならば、
 世界連邦運動は大きく前進し世界の人々から圧倒的な支援を受けるであろうと信じ、
 大会に参加された同志の高邁な精神に訴え切にその採択を希う者であります。

 

世界連邦*
 民族や宗教などの対立をなくし、世界をひとつの国家と考え、すべての人類をその国民とする国家のことをいう。

世界連邦平和運動*
 世界連邦を目指す国際的な非政府組織で、日本において第二次大戦終戦直後に尾崎行雄ら有志議員が提唱したもの。 
 


各宗派の代表者、ダライ・ラマ法王ら、多くの宗教者と話し合いを重ねて平和への道を歩んだ曾祖父。亡くなった5年後に、曾祖父と同じ誕生日にそっくりな顔の私が生まれた。信仰の話に熱が入ってくると、「あなた、血よ」と母が言う由縁はここに・・・。





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