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ガイアシンフォニー第三番 [おすすめ本]

写真家、星野道夫さんの全集を半分ほど読んだところ。
彼の写真集も、見れば見るほど心惹かれていく。
そして、彼のための作品とも言うべく、ガイアシンフォニー第三番を観てきた。

彼が書く文章は、常に立ち止まるように読み止まり、
本から顔をあげて、うん、とか、はぁ、とか、まったくだ、というようなジェスチャーがつく。
理解しながら読む本もあれば、体得するような気分になる本もあるのだなと思う。

アラスカに行ったことはないけれど、彼の本を読んでいくうちに、
数万頭のカリブーの大移動、コバック川の流れ、オーロラの神秘、ザトウクジラの舞いなどが、
まるで目の前で繰り広げられるように、思い描くことができる。
彼の描写が、ただ詳細で美しいだけじゃないんだと思う。
ファインダーの向こうに見えない世界を見ている、という意見に母も私も賛同した。

星野道夫さんは、アラスカの原風景を写真におさめることで、私たちに何かを語りかけた。
でも、語りかけるために写真を撮り続けたのではない。
彼自身が何かを探し求めていて、私(たち)もそこに何かを見るのだと思う。何かがあるから。

各土地に、固有のしきたりや、時節の祀りごとがあり、自然の恩恵を感謝し、暮らす生活がある。
アラスカの場合も、極めて過酷な自然環境がつくりあげる独自性がある。
ある一つの権威(政府や団体)が、そこをその他の土地(これらの土地にも固有のものが存在する)と同じように
統合もしくは融和させるというのは、至って無理な話なのだ・・・
ということを、私は星野道夫さんの写真や文章から感じる。
アラスカの話を読みながら、私は世界の先住民族を想った。
アメリカの先住民族、マオリ族やアボリジニ族、太平洋島嶼国に代々暮らす人々たち。
西洋から流れてきたキリスト教や、新しいライフスタイルを、どうやって受け入れているのだろうかと想った。
例えば開発と銘打って土足で入っていく「北の人間」は、
彼らに彼らの暮らしを守り続けるための当然の権利を託していたのかと。
先進国、途上国、後進国、新興国・・・
いったいどこを基準にしてこれらの言葉はあるのかしら。
そして私は、また世界中のあらゆるところに静かに想いを馳せていく・・・

今回の第三番で最も心に響いたのは、ボブ・サムの低く厳かに響く、
"Don't be afraid to talk about the spirits..."
という声。

だけど、やはり見えない事を描いた映像だった。
それぞれの心に違う何かを残していく・・・[台風]



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