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人が物を語ることの大切さ。 [和道 Wha-Dho 哲学]

小さい頃に読んだ本の方が、今よりもおもしろい本がたくさんあった気がする。
モモ、リトル・トリー、大泥棒ホッツェンプロッツ、100万回生きたねこ、
果てしない物語、星の王子様、クレヨン王国・・・

だから、子どもをお腹に宿し、産み育てる愛情にあふれた母という存在は、
大切な事を子どもに伝えたくて、たくさん本を読ませるのだろう…
「本を好きな子になりなさいね」ってね。

大切な物語、おとぎ話や神話は、本の世界に広がっている。
だけど、そういう本の内容は、現代社会じゃ残念ながら本の中にしかない。
外には存在しない。
だから、本の中だけで得たことは、本から目を離すと、なくなってしまう。

本の話が、本当は人から語られればいいのに、とよく思う。
物語が誰の口からも語られなくなるのは、本当に残念なこと。

戦争から生きて帰った私の祖父は、生前いつも戦争の話をしてくれた。
学徒出陣した友だちもよく家に来ていて、私はいつも戦争の話を楽しみにした。
彼らは、懐かしい昔話を話す感じで、悲しさや楽しさもなく、淡々と話してくれた。
だから、戦争の本を読まなくたって、戦争が悲惨だということはよくわかる。
同じ話を何度も聞くと、戦争に行ってないのに、まるで自分も経験したかのように感じる。

話が終わっても、目の前に戦争へ行った祖父がいると、生きた物語がそこにあるように感じた。
私は今でも、世界各地を旅行すると、必ず戦争博物館に行く。
なぜかわからないけど、バックパックで旅行をし始めた時からいつも訪れてきた。
辛く感じることはもちろんある。けど悲しくない。
ただ、多くの場所で戦争があったことを知っておきたいだけ。
来日する友だちも、広島には必ず連れていく。
何も言わないけど、核はダメだって伝えたい。

一人の人生は、ひとつの物語。
その物語は、語る人のハートがこもって、はじめて生きてくる。
生きている物語は、人の心に入ってくる力がある。
その物語は死なない。それは魂だから永遠に残る。
そして、その中に本では得られない何かが含まれている。
だから、私は口頭で語られる話が一番好きなんだ。

そして思う…。
祖父母は、世界大戦の真っただ中を生きたけど、戦前にはどんな物語があったんだろう。
私の好きな平安時代はどうだったろう。
産業革命のイギリスは?アメリカ大陸にネイティブの部族多く住んでいた時代は?
狩猟社会はどうだっただろう・・・
人の口からもう語られない時代の話が知りたい。

だけど、一つ前の時代の話くらい、人の口から直接聞きたいな・・・。



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コメント 2

Shino

『モモ』!!!
大切なことは何かを教えてくれた傑作ですよね。
私は子供時代、モモの読書感想文で受賞しました(と、自慢:笑)

そして『『大泥棒ホッツェンプロッツ』』!!!
すっかり忘れていましたが、小さい頃大好きでした。

>本の中だけで得たことは、本から目を離すと、なくなってしまう。
>そういう本の内容は、現代社会じゃ残念ながら本の中にしかない。

確かに、、でも幼少期に読んだ本って、ちゃんと細胞が覚えていて、心の中に確実に生き続け、いつも「忘れちゃダメだよ」ってささやき続けてくれていたように思います。

>だけど、一つ前の時代の話くらい、人の口から直接聞きたいな・・・。

そうですね。せめて私達は、次世代に何かを語れるおばあちゃんになりましょう!


by Shino (2009-11-22 13:25) 

もののけ

メッセージありがとうございます♬
モモの感想文で受賞とは!!モモより感想文が読みたいです!!

大泥棒ホッツェンプロッツは、あれは参りましたね^^。
大好きでした!
コロッケさんの料理本とかは覚えていますか?あれも好きでした!

本は、だからたくさん読みたいのかもしれませんね。
母がいつもいう「本が好きな子」。つながる大切なメッセージですね。

志野さん、私は神話を語りつぐ人になるのが夢かも!!
by もののけ (2009-11-23 19:47) 

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