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『蒼穹の昴』にみるチュンルの運命(ネタばれ) [おすすめ本]

『蒼穹の昴』は、1996年に浅田次郎によって書かれた長編小説。
清代の中国を舞台とした歴史小説。

Asada Jiro.jpg

本気であらすじを書くと長くなるので、ほんとざっくりさわり部分を↓

貧家の子、李春雲(春児=チュンル)は糞拾いによって生計を立てていたが、貧しい家族のために自ら浄身し、
宦官(しんかん)となって西太后の元に出仕する。一方、春児の兄の義兄弟で同郷の梁文秀(史了=シー・リャオ)は、光緒十二年の科挙を首席(状元)で合格し、官僚制度を上り始める。
                                       (wikipediaより)

さて、チュンルの運命がどう描かれているかですが、貧しい暮らしを何とか凌いでいたチュンルは、ある日、白太太(パイタイタイ)に出会う。この老婆は、チュンルに預言した。

  「汝の守護星は胡の星、昴。
   汝は必ずや、あまねく天下の財宝を手中に収むるであろう。
   怯えることはない。すべては宿命なのじゃ。
   昴はそもそも天宮を統べる、富と威の星。世界を統べる昴の星。
   汝はやがて、中華の財物のことごとくをその手中にからめ取るであろう。」

それを聞いたチュンル、貧しい生活の中でも希望を捨てず生きていく。科挙試験には通らないと知ったチュンルは、それに合格した兄とともに都に上る。

そして、考えうるすべての準備と努力を積み、自ら宦官の道を選び、ついに西太后の寵愛を得て仕えるようになる・・・。
と、細かい部分とここから先はぜひお読みになってください。

まず浅田次郎の本は、どれも人物描写が時代背景が最高で、登場人物は人情深く、心の篤が伝わってくる。
この『蒼穹の昴』も例にもれず、中国の歴史をよく知らない私でも、各人物描写が緻密で、壮大な歴史物語が繰り広げられるのでストーリーに引き込まれ、あっという間に読み終えます。


さて、この白太太。後になって、チュンルに偽りの卦をしていたことを告白する。

  「わしは人間の力を信じておる。
  人間には誰しも、天上の星々を動かす力が眠っておるのだと信じておる。
  だからわしは、薩満(シャーマン)の掟を破って、あやつに偽りの卦を伝えた。
  それでも、わしは信じたいのじゃよ。
  この世の中には本当に、日月星辰を動かすことのできる人間のいることを。
  自らの運命を自ら手で拓き、あらゆる艱難に打ち克ち、
  風雪によく耐え、天意なくして幸福を掴みとる者のいることをな。」



誰かがあなたに嘘の卦を伝えたとして、それを信じれば、運命は良くも悪くも変わるかもしれない。あなたの運命や人生を、あなたさえも信じなければ、変わるどころか、何も生まれない。

要は、心なのでしょう。本気で心から決心をしたら、その後は、誰かの、社会の、先入観の、文化の、そういった流動的なものの影響を受けずに、ただひたすらそこへ向かうこと。

信念という大きな志を持っていけば、忍耐強くあることや、困難を乗り越えることまでもが、まるであなたを見方するように存在することに気づく。

心の在りようが、人生そのもの・・・[かわいい]




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